留美の想い

4/26
前へ
/26ページ
次へ
その日は筑前煮とカレイの西京焼きを買って帰宅した。 ご飯は昨日炊いた残りがある。 年末と比べて食欲は普通に戻っていた。 乾燥ワカメでも入れた簡単な味噌汁を作ろうと、鍋に水を入れてガスコンロのスイッチを回す。 2月の寒さを熱々の味噌汁でお腹の中から温めたかった。 ――どうしよう……。病院に行った方がいいのかな? 私は無意識のうちに冷えたお腹に手を当てていた。 食欲は戻ったし、寝つきもだいぶ良くなったけれど、気がかりなことが一つある。 去年の11月から生理が止まったままなのだ。 ――まさか、あの時の……? 孝一と別れる数日前、彼が私の部屋に泊まってくれた日があった。 ぎこちなさはあったけれど、私を抱いてもくれた。 ――ううん、乱れた生活で生理不順になってるだけよ。 私は妊娠の疑惑を打ち消しながらも、そろそろハッキリ調べる時期だと覚悟していた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

240人が本棚に入れています
本棚に追加