230人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の夜風が心地良く感じられるオープンカフェで、私は孝一が来るのを待っていた。
アイスティーを啜って、通りを行き交う人たちをぼんやりと眺めながら。
孝一の会社は、ここから歩いて10分くらいの所にある。
「お待たせ!」
仕事を終えたばかりの孝一がスーツ姿で現れた。
真夏でもスーツにネクタイ……。
男性は気の毒だな、なんて一瞬だけ思ったけれど、呑気な思考はすぐさま緊張感に変わった。
「ここ、暑くない?」
「さっきまで中にいたんだけど、冷房が強すぎて寒くなっちゃったの。でも孝一が暑いなら中でもいいわ」
私はアイスティーを持って立ち上がり、店内の席に移動しようとした。
それを両手で制する孝一。
「外で大丈夫。僕も飲み物を買ってくるから待ってて」
言いながら孝一は店内に入って行った。
最初のコメントを投稿しよう!