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「沙織……ありがとう。そう言ってもらえると、ほんと……本当にごめんなさい」
「謝らないで。私も今は充分に幸せなんだから」
沙織の優しい笑顔が、心からの温かい笑顔が、私のわだかまりを溶かしていった。
沙織にも恋人ができて、その相手はラジオ局のプロデューサー。
沙織も幸せになっていたと知り、本心から嬉しく思った。
沙織から聞いた話によると、遥子も新しい恋人と順調で、結婚の話まで出ているらしい。
そして私は今、孝一と再び付き合っている。
約二ヶ月前、10月に公園で再会したあの日、孝一は約束通り夜に電話をくれた。
その電話から数日後には彼と会い、私はすべての事実を打ち明けた。
光一は彼の子供であること。
光一と名付けた私の気持ちなど、すべてを……。
「籍を入れよう」
孝一はそう言ってくれた。
信じられない奇跡のような展開だった。
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