留美の未来

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「ママ、くちゅ、くちゅ」と急かす光一の手を握り、私は公園までゆっくりと歩いた。 お弁当と水筒の入った大きいバックを肩に掛けて。 やって来た公園は、私が住むマンションから歩いて10分くらいの場所にある。 光一と一緒に歩くと15分以上かかってしまうのだけど。 その日の公園は普段より混んでいた。 光一の好きな滑り台も順番待ち。 ベンチも一つしか空いていなかった。 砂場やブランコにも子供たちが群がっている。 外遊びが好きなくせに人見知りする光一は、他の子がいると滑り台にも近づこうとしなかった。 私たちは一つ空いていたベンチに座り、お弁当を広げる。 光一が夢中でおむすびを食べている間、私はぼんやりと銀杏の木々や、その上に広がる青い空を見ていた。 ふと、懐かしい情景が心によみがえる。
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