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それは孝一と同じ会社で働いていた時、会社の近くにあった公園――。
昼休みは可南子や同僚たちと、レストランやカフェでのランチが大半だったけれど、たまにその公園で食べる時もあった。
お弁当を作ってきた時や、作ってなくてもコンビニでおにぎり等を買って。
「たまには外で食べるのも気持ちいいね」
なんて同僚たちと言いながら。
その公園に銀杏の木はなかったけれど、昼間の青空や白い雲や暖かな陽射しは心を和ませてくれた。
光一が生まれて再び夜の仕事に戻ってからは、ゆっくりと空を眺める機会も少ない気がする。
――可南子やあの時の同僚は、みんな元気かな……?
会社を辞めてからは、誰とも連絡を取っていなかった。
携帯を変え、皆との繋がりを切った。
お腹にいる時も生まれてからも、光一の存在を知られたくなかったから。
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