未来の君へ

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取引先へ出向いた帰りや時間に余裕があれば、郁真のバイト先に顔を出す。 昼前だったり、学生の下校時間帯だったり。いつからか…あの子が居ればイイな、と思うようになっていた。 郁真があの中の女子高生と付き合うようになって、趣味でやってるフットサルの練習にも連れて来るようになって… あの子は?って。菜緒のことを佳代ちゃんに尋ねる決心がつく頃には季節は夏に変わっていた。 暑い、熱い、青く澄んだ空の下で。 偶然を装いながら、グラウンドの隅の日影に一人ぼっちの菜緒に近づく。 初恋は、とっくに済ませてるのに。試合よりも仕事よりも緊張しながら。 遠くにニヤニヤしながら見守る二人に軽く手を上げて。 「熱中症?大丈夫?」 花壇の淵に座る菜緒の隣に腰を下ろした。
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