未来の君へ

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郁真のバイト先のカフェで君を見かけたのは、桜が咲く前のこと。 元気いっぱいの明るい女子高生の集団の中で一人興味無さ気に店内を見渡す君の横顔を見つけたんだ。 風が吹いただけでも大笑いしてしまう君たちは、郁真がテーブルに近づく度に黄色い声が上げた。 「お前、女子高生に狙われてんの?」 「羨ましいでしょ」 澄ました顔の郁真が今日のオススメのケーキを目の前に置く。 「いや、別に」 賑やかなテーブルを一瞥して、目の前のケーキにフォークを刺した。 無理だろ… 女子高生なんて。 面倒なのは、ゴメンだ。 元気の有り余る彼女たちの声は店内によく響く。来週から始まるテストのこと。新しい担任の感想。昨日みたテレビの話。 次から次へと繰り出される話題は尽きることが無くて、疑うことの知らない笑顔は眩しくて。 とうに過ぎた時間が、どれほど貴重で輝くものだったかということを改めて感じた。
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