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随分前に郁真と別れたのは聞いていたけど。同じ街に住んでいるのに、顔を見るのは本当に久しぶりだった。
「ギラギラって言わないでよ!高野さんだって、オジサンになってるじゃない」
子犬のようにキャンキャン煩いのは相変わらずだな。
「成人式だったの?」
「そ。もう、大人なの」
顎を上げて満足気な顔を見せる。
早く大人になりたかった、と言わんばかりのその表情に昔の傷が疼くようだった。
「ともくん、私本屋行ってくるわ」
佳代ちゃんに小さく会釈して離れていく背中は、直ぐに人混みに紛れた。
「まさか、あの人が今の彼女?」
「ん?まあね…」
「もっと見栄えのするのが好みだと思ってたけど。そうでもなくなるのね?」
相変わらず容赦ない会話をする佳代ちゃんとの会話は懐かしさが勝る。離れがたくて立ち話を続けた。
郁真と別れて、しばらくは何も手につかなかったこと。短大に進んだ彼女は4月からは幼稚園の先生になること。…高校時代の友人とは疎遠になってること。
「菜緒はね、ほとんど帰ってきてないみたい…」
アーケード街はたくさんの人が行き交う。人の流れを目で追いながら…佳代ちゃんの話に驚きと同時に落胆を隠せなかった。
「そっか……」
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