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菜緒と別れて俺が過ごしてきた時間よりも、
高校を卒業して、未だ大人になることに憧れを抱きながら、迷い傷ついてきた彼女たちの過ごしてきた時間が色濃く刺激的で…
同じ24時間も
同じ2年も
やっぱりーーー
全く違うもののようだ。
仕事では責任も増えて、いつからか甘えや弱音を受け止めて、守る側に立つことが増えた。
未来に夢や希望を抱く佳代ちゃんは、東京で一人頑張ってるだろう菜緒と重なる。
膝丈のコートの前から覗く、胸元の開いたニットにショートパンツ。多分、流行りの格好なんだろ?
目だけで隣の佳代ちゃんを見下ろして、「風邪引くなよ?」と呟く。
「親みたいに言わないでよ」
頬を膨らませた顔は、まだまだコドモだな。
クスクス笑う俺を睨む佳代ちゃんは、ふと真面目な顔を見せた。
「ね、高野さん…」
「ん?」
「もし、今日とかさ。
菜緒に会ったら、どうする?
今でも…今でも好きって言われたら、どうする?」
コク、と喉がなってーーーー
酸素が薄い、と苦しくなった。
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