第1章

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俺はこの髪を伸ばし続ける。 此処に居られるように。 守れるように。 だから、お願いします。 どうか、もう少しこの世界に時間をください。 瞳を瞑ると感じる、確かに俺の中にある2つの鼓動。 イエスとマリアは、この世界の終りの象徴。 次のための始まりの使者。 多くのことがあったこの世界。 多くの人と出会ったこの世界。 何よりも、潤先輩と過ごしたこの世界。 失くしたくないけれど、どうしようもないのか。 身体中に感じる熱に、瞳を閉じる。 温もりに指をからめた。 欲は欲を生み、堕としていく。 罰を受けるのは俺だけでいい。          
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