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段々と郁たちの瞳が見開いていく。
そして、顔を見合わせた。
郁「…潤…先輩……」
臣「…呉羽……」
微かな声色で紡がれた声は確かに俺に届いていた。
けれど何も言葉に出来ず、ただ頷くだけになってしまった。
それだけでも確かに伝わったようで、郁の瞳に大粒の涙がたまる。
郁「潤先輩っ!」
手摺の所に手をかけ、立ち上がろうとする。
けれど、その体は人形のようにぐにゃりと地面に伏した。
同じように立ち上がろうとした兄貴も同じように膝をついていた。
いや、膝をつくのも辛いらしい。
とうとう地面に伏してしまった。
慌てて駆け寄り、その体を支える。
握りしめた手からは弱弱しい力が返ってきた。
イ「まだ魂が体になじんでいないのでしょう
しばらくは車椅子生活になりそうですね」
臣「…そうみたいだな」
苦笑して兄貴はイエスの方を見る。
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