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中には泣き出した者もいた。
皆、頭を深く垂れ、瞳を閉じる。
最上級の礼。
それを、微笑みながら兄貴たちは受け入れていた。
優「4年ぶりだな、郁、臣」
カリシュアルの入り口では、優和が出迎えていた。
その横には2台の車椅子。
どうやら千里が先に連絡を入れて、手配していたらしい。
それぞれに郁と兄貴を座らせ、中に入る。
入口では、朝にもかかわらず、多くの人で賑わっていた。
入口から道を作るように、両サイドに密集している。
「「「お帰りなさいませ、魔剣様」」」
これには、郁も驚いたようだった。
魔剣、と不思議そうにつぶやく。
そうか、郁は知らないのか。
千里は魔剣に就任することはなかった。
そのまま炎剣の地位にいる。
魔剣に相応しいのは郁だけだと、拒否したのだった。
それに否を唱えるものは誰もいなかった。
千「話は診察が終わってからにしましょう」
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