第1章

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郁「そうですね……  何から話せばいいでしょう」 話すべきことがありすぎて、どれを話のきっかけにすればいいのかがわからない。 それだけのことを秘密にしていたのだと思うと、心が苦しくなった。 潤先輩に対しても心苦しい。 先輩は俺に何でも話してくれる。 それなのに俺にはこれだけの秘密がある。 話せばすぐに済んでしまう問題。 けれど、心配かけたくないのだ。 無駄に心労を増やしたくない。 ただでさえ、俺が眠りこんでしまって心配をかけてしまった。 4年間も。 キ「僕達のことからじゃないの?」 くりくりとした瞳を向けられる。 あどけないその顔は、とても可愛らしい。 しかし、どこか昔の…イエスの面影がある。 おいでと、手を広げれば素直に走り寄ってきて腹のあたりに顔を寄せる。 郁「それもそうかな?」 臣に目を向ければ、コクリと頷き口を開く。            
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