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瞳を見つめれば、何故か不安げに揺れていた。
その奥には言い表せない炎が揺らめいているようで、フルリと体が震える。
ソファの手すりに置かれている手を思わず握り締めた。
握り返してくれることはなく、ツキリと胸が痛む。
何かいけないことを言ってしまっただろうか。
キ「そう嫉妬しないであげて?
母上が悲しそうだよ」
潤「っ…」
潤先輩の身体がピクリと震えて、瞳から闇が消える。
先程まで瞳を見つめていたはずなのに、やっと瞳があった気がした。
触れている掌を引っ込めようとすれば、遮られ強く握りしめられる。
その温もりが嬉しくて、温もりを留めるように握りしめた。
キ「同じになるには、神様に魂を創って
もらうしかなかった
けど、神様の創った魂を一番最初に
生み出すのは、人間には負担が
かかりすぎるの
だから僕は母上にマリアを生んでって頼んだ」
郁「そして、俺はそれを受け入れました
まさか、男の身体で産むことになるとは
思わなかったですけど……」
優「男の体では産めないだろう?」
何を言っているんだとばかりに顔を歪める、優和を見つめる。
そして、そうかと思い出す。
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