第1章

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カリシュアル本部での話をもう遅い時間だからと打ち切り、解散したのが数分前。 兄貴は呉羽と共に、西條の家に行った。 レオンとカイルは郁と次に会う約束をして、実家に帰っていった。 優和と千里は、まだ仕事が残っているらしく、カリシュアルに残った。 俺はといえば、神城の家に帰る郁を送っている。 まだ、全く手足に力が入らず、動くこともままならない為といえば、聞こえはいい。 しかし、そんな事は建前だ。 本当はただもう少し一緒にいたかっただけ。 車椅子を押しながら、外の景色を見つめる郁を見る。 潤「子供のこと、昴さんに話さないとな」 郁「凄く、怒られそうです  親父にも何も話していないですし、  それに急に眠ってしまいましたから」 潤「類さんも説得しないとな  何だか、郁の家に行くのが憂鬱だな」 郁「ふふっ  負けないでくださいね」 柔らかに笑う郁は、あの時と変わっていない。 やはり聖母のように微笑む。 時折、腹部を優しく撫でていた。 その中にいる2人の子供を思っているのか。           
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