第1章

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郁SIDE それからというもの、俺と臣はリハビリに入った。 何分4年間も動かさなかった体だ。 身体の状態は時間が止まっていたとはいえ、まだ魂と身体が完全に馴染んでいなかった。 そして、俺達は全く魔法が使えない。 魔力のほとんどはルシファーを封印しているあの茨の塔に自動的に送り込まれている。 俺達の身体に残っているのは、初級魔法すら打てない程の魔力。 転移すら使えない。 加えて、魔力に対する耐性が格段に落ちていた。 白魔法の俺は特にだ。 もともと、白と黒の魔法は他の魔力と混じり合うことを嫌う。 前までは、耐性があったからこそ、他の属性の魔法もアレンジして使うことが出来た。 しかし、今では違う。 他の属性の魔法を向けられると、それに身体が過敏に反応してしまう。 黒魔法ならまだ、自分の魔力を塗り重ねていける。 けれど、白は塗り重ねても他属性の魔力がなかなか消えない。 受け付けられる魔力といえば、俺は光、臣は闇の魔力だけだった。 そもそも、光と闇は白と黒から派生した属性だから。 というわけで、主に回復系の水属性で筋肉を活性化して治療するわけにもいかない。 そこで、地道にリハビリをしているのだ。            しかし、俺にはそれ以上に困ったことがあった。        
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