第1章

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郁「初めて来たな」 連「そうですね  坊ちゃんは忙しかったですから  許可は貰っていますので、  ゆっくり見て回りましょうか」 郁「あぁ」 リハビリもなんとかこなし、まだ車椅子は手放せないが、何とか生活は出来るようになってきたこの頃。 ずっと家にいるのも暇だろうと、連人が外に連れ出してくれた。 季節はもうすぐ秋に変わる。 まだ残暑は残っているが、時折涼しげな風が吹く。 連「寒くはありませんか?」 郁「そんなに心配しなくても大丈夫だよ  ほら、膝掛もしてるしね」 ちらりと持ち上げてみせても、心配そうな表情は中々揺らがない。 最近、心配症がさらにひどくなった気がする。 仕方ないとは思うものの、少し面倒でもある。 それでも、心の済むまでやらせてやろうとは思う。 時折、俺をどこかの病弱な令嬢だと勘違いしていないかと思ったりもするが。
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