出立

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ーーーーーー ーーーー ーー ー …ということでフロール王国に決まって船で向かう途中で気分悪くなり、今に至るんだよな。 『エル様、いらっしゃいますか?』 ん? 「いますよ…ってマリーいたのか。返事の前に入って来るなよ。」 「いますよ!私はエル様専属のメイドですから。」 そういや専属とかいう肩書きがあったな。 「気分が優れないということで…あれ?エル様、シワ増えました?」 「なに!?」 船酔いだ。それは船酔いに違いない。そう思いたい。 だが、だいぶ酔いは覚めたようだ。この部屋はどちらかと言えば船底に近い場所だから揺れも感じにくい。 「しかしこの船は眺めが素晴らしいですね!見てください!ヘビーオクタンのぬいぐるみ買っちゃいました!」 「かなり楽しんでるな!どおりで今まで姿が見えないわけだ!」 「買っちゃいました」の語尾に星マークが付いていたぞ、ふざけんな。 ってか魔物がぬいぐるみ化されるのか。どっちかと言えば気持ち悪い方の魔物だぞあれ! 「そんな興奮してるとまた酔いますよー」 「誰のせいだと…はぁ……」 シワが増えててもおかしくないのかもしれない…。 「他のメイド達とは仲良くやってんのか?」 「ええ、わりと。エル様の小等部時代の可愛い出来事は全て話しました。」 「あんまり変なこと言うんじゃないぞ。」 「これから中等部編に入ります。」 「俺の人生を網羅する気か!」 好き勝手言われると他のメイド達と顔合わせづらくなるだろうが。 「いい加減にしないとマリーの珍エピソードを暴露するぞ。ネタなんて数え切れないほどあるからな。」 「あ!人の足元を見るなんてズルいです!そんなことしたら外に出られなくなるじゃないですか!」 「お前……自覚してたんだな。」 外に出られなくなるって…わかってるならドジ踏まないように気を付けろよ。 「はぁ……」 自分のメイドに溜め息つかされる俺っていったい……。
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