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「……することねぇな。」
「船内魔法禁止だもんね…」
「そう?楽しいけど。」
「お前アイスクリーム何個目だよ!腹壊すぞ!」
「あはは……」
船内談話室。休憩室と言っても正しいだろうか。
バン達四人は暇を持て余していた。
ウェルにバンがツッコみ、シェリアが苦笑いするのはいつもの光景である。
「そういやシェリア。継承魔法はもう完璧に使えるの?」
「ううん…まだ。お母さんが言うには、感覚が研ぎ澄まされたとき
に発動しやすいって言ってたかな…。」
メアの質問にシェリアは困ったように答える。
「あぁー確かに。あのときのシェリアはなんか凛々しかったわね…。」
「そ、そうかな?…メアちゃんはもう使えるの?」
照れているシェリアがメアに質問を返すと、メアは得意気な顔をして答えた。
「アタシの継承魔法は攻撃魔法とは違うの。自身に施す魔法だから、発動は簡単かな。」
「いいなぁ…。」
「ただね…」
「?」
メアの表情に影が出来る。何か事情があるようだ。
「発動してから効果が続くのが恐ろしく短いの。ほんの数秒だけよ。シェリアみたいに標的を捕らえるまで魔法が途切れないなんて羨ましいわ。」
「そうなんだ…。バン君達は?」
「あ"?」
シェリアはバンとウェルにも同じ質問をしようと視線を移した。
「アンタ達…何やってんのよ……」
メアはその光景に思わず溜め息をもらす。バンとウェルが睨み合っていた。
「ちょっと聞いてよ!バンがこのアイスを少し寄越せなんて言うんだよ!」
「別にいいじゃねぇか!そろそろ飽きる頃だろ!」
どうやら睨み合いの原因はウェルのアイスクリームにあるらしい。あまりのくだらなさにシェリアは再び苦笑い、メアは溜め息をついた。
「ちょっとバン。あんた、ウェルが舐め回したアイスを食べたいって言うの?」
「………やっぱいらね。」
「何なのこの仕打ち!?」
メアの指摘によりバンの食欲は一瞬で消え去る。
そしてウェルは何故か心に傷を負った。
「もういいもん!僕は愛しのエンジェル、エル君と遊んでくるから!」
「うっ……そうなるとむしろエルが気持ち悪いわね…。」
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