第1話

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「今回送られてきたブツが、イマイチなんですよね。やらせの音声作りますか?」 パソコンデスクから、割り込んできたのは前村茂。音声担当である。 彼はガリガリに痩せており、小柄な体型だ。掛けている黒縁眼鏡の方が大きく見えるくらいだ。 「やらせか……44本目は無しで行きたいよな。誰か恐ろしい心霊スポットとか知らないかー? 友達でも好きな奴とかいるだろ?」  同じくデスクから腕を組み、眉間にしわを寄せ発言したのは森丘大樹。編集担当である。一番、発言権があるのは彼である。計6名の少人数で、このシリーズは作られていた。 「知っていたら、真っ先に森丘さんに話しますよ」 皆、私の意見に頷いた。そんな時だった。電話のベルが事務所に鳴り響いたのは。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加