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「今回送られてきたブツが、イマイチなんですよね。やらせの音声作りますか?」
パソコンデスクから、割り込んできたのは前村茂。音声担当である。
彼はガリガリに痩せており、小柄な体型だ。掛けている黒縁眼鏡の方が大きく見えるくらいだ。
「やらせか……44本目は無しで行きたいよな。誰か恐ろしい心霊スポットとか知らないかー? 友達でも好きな奴とかいるだろ?」
同じくデスクから腕を組み、眉間にしわを寄せ発言したのは森丘大樹。編集担当である。一番、発言権があるのは彼である。計6名の少人数で、このシリーズは作られていた。
「知っていたら、真っ先に森丘さんに話しますよ」
皆、私の意見に頷いた。そんな時だった。電話のベルが事務所に鳴り響いたのは。
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