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タイヤは砂を激しく蹴り、屋敷の前に車を停めた。するとその音に気付いたのか、玄関の戸が開き和服の女性が出てきた。
髪をアップにし、雪肌の首筋が見え、そこに数本垂れる黒髪が何ともいえない色香を誘い、着物なのに、ふくよかな胸元がセクシーなラインを作り上げていた。
「あの人が魅羅さんかしら?」
私はその色気に圧倒され、やっと口を開いた。
「うひょーあの人となら幽霊は怖くないかも!」
さっきまで震えていた、茂が鼻息を荒くした。
「車から下りよう。彼女と話してくる」
横にいた冬馬がスライド式のドアを開け、駆け寄るように着物の女性に近づいた。
――もう冬馬ったら……浮気だけは許さないわよ。
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