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入学式のお知らせ
日時:4月9日 2時10分~
(生徒は1時50分まで指定の教室に入ってください)
場所:N高校体育館
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どうやら、間違いはないようだ。
だんだんと教室も人が増えてきている。
辺りを見渡すと、知り合い同士で集まる者、席の前後で友人を作ろうとする者、席が分からず教室前方で困った顔を浮かべる者、様々だ。
それでも、俺の周りの席は相変わらず空いていた。
「みんな、おはよ」
その声は、独特のイントネーションで、しかも教室全体に話をするような挨拶だった。
所々から控えめに挨拶が返る。
前の扉を見ると、満足したような表情で教室を見渡す焦げ茶色の髪の男がいた。
「ええと、俺の席は……」
黒板に貼ってある座席表と教室内を見比べ、席を探す。
そして、彼は俺と目を合わせた。
「おう、隣の席や!
よろしゅうな」
入って来た時と同じ顔で挨拶される。
きっとそういう表情が普通なんだろう。
「よろしく」
俺はそう返して笑みを浮かべる。
内心では俺が、ため息を吐いていた。
面倒なことになったな、彼を見ながら思う。
隣の席というのは、仲良くなりやすいのに、彼は俺の苦手なタイプだった。
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