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「ほんましんどいわぁ……。
あ、名前何て言うん?
俺は根來(ネゴロ)当麻(トウマ)や!」
隣の席に荷物を降ろし、彼は俺の方を向いて座った。
「俺は……榊原万基(カズキ)だよ。
よろしく」
苦手だと悟られないように笑顔で答える。
根來は「そうか」と頷くと、右手を差し出した。
「万基な! ほれ、握手!」
仕方なく、俺も手を差し出す。
軽く握るだけかと思ったが、根來はがっちりと僕の手を握った。
「そういえば、万基は今日誰と来てるん?」
「え、1人だけど」
「ほんまに?
俺も今日1人で来たんやけど、迷ってしもて!
10分で着くって聞いてたんやけど、40分かかってしもたわ」
早めに出とらんかったら遅刻しとったわー。
そう言いながらも、根來は愉快そうに笑い声をあげた。
「大変だったんだね」
出来るだけ素っ気なく返すが、気付かないのか、根來は口を閉じる気配など無く話し続ける。
俺は笑顔を張り付けたまま、早く終わるように祈っていた。
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