プロローグ

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“鶴の恩返し”って昔話、知ってるかい? そうそう。鶴を助けた若者のところに、その鶴が女の人に化けて機を織りに来る話。 実はさ、それにちょっとだけ似てるお話があるんだけど、聞いてみない? ほらほら。そんな面倒くさそうな顔しないで、聞くだけでも聞いてってよ。   こほん。さあ、瓜生 真胡の鶴の恩返しならぬ、“河童の恩返し”の始まり始まり。 むかーし、むかし。というか今から10年くらい前の夏のこと。 僕はおばあちゃんに貰ったきゅうりのぬかづけを片手に、河のほとりを歩いていました。 すると向こうの方に人影が! なんだなんだと急いで駆け寄ってみるとそこにはなんと‥‥‥‥え、うん。まあ、子供の河童が倒れていたわけですよ。はい。 なんだよぉ~う。分かってても言わなくていいじゃんか。いけずぅ~。 早く続けろって? 分かったよ、まったく。 えっと、倒れていた河童を見た僕は、とりあえず『どうかしたの?』と尋ねました。 あの頃の僕は、恐いもの知らずだったからね。きっと東京に行けば河童とか天狗とかフツーにいると思ってたんじゃないのかな?今だったらソッコーでランウェイするけど。 いい? 話を続けるね。
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