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「今日児島くんはお休みです」
朝のHRで担任がそう伝えても、もはや誰も反応はしない。今朝も、相変わらず教室はおしゃべりの声でざわついていた。
―なんで毎日来ないんだろう。
学校が面倒くさいのかな、嫌いなのかな。
彼と一緒にいるようになってから、ほのかに期待をしていた。
もしかしたら、あたしのおかげで学校に遅刻したり、来なくなるようなことは減るんじゃないかって。
あたしと一緒にいることが彼の救いになるんじゃないかなって。
だけど、相変わらず変わらなかった。児島は週に2,3度のその習慣を継続した。
心配だけど、連絡することもできないし。児島は携帯を持っていないのだ。(ますます謎が深まる)
「あいー、移動教室でしょ?」
みぃちゃんたちが教科書と筆記用具を持ってドアの近くに立っていた。
あたしははっと我に返った。どうも最近こういうパターンが多い。
「あぁ、ごめん!待って待って」
あわてて机の中を探り、ドアまで走る。3人はいらいら顔をしながら、一応待ってくれた。
「なんかさぁー、最近ボーっとしてない?」
移動中、みぃちゃんはちょっと低めの声で言った。あぁ、まずい。これは面倒くさくなる。
こういう時は笑ってごまかすのが一番とあたしは心得ている。
「あー、睡眠不足かもしれない。最近あんまり寝てなくて。えへへ」
「ふーん」
みぃちゃんの声はますます低く、細い眉毛が上がる。笑ったのが逆効果だったみたいだ。
機嫌が悪い時のみぃちゃんほど面倒くさいものはない。ゆっけとしおりも黙ってまつ毛を伏せたままつるりとした廊下のタイルに足を運ぶ。普段はほいほい同調して、うるさく話しまくるくせに、こういう時に限って黙り込む都合の良い彼女たちに腹が立つ。
むろん、すぐに機嫌が悪くなるみぃちゃんも嫌だ。
最初ので勢いがついたのか、いよいよみぃちゃんは普段の不満を爆発させた。
「しかもさ、最近放課後遊んでくれないし、ラインも既読無視するし、ツイッターも更新しなくなったじゃん。バイトでもしてんのかなって思ったけどそういうわけでもなさそうだし。なに、付き合ってる男でもいんの?」
ぎくり。
言葉が出てこない。
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