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(あたしは児島に好意を抱いていて、頻繁に2人で美術室に通っていて・・・。そもそも彼はあたしのことが好きなのかな。あっちが好きだったら付き合っているって言えるんだろうけど)
一瞬のうちに頭をフル回転させてみたものの、どう言えばいいのか分からず、口ごもってしまった。
「あ・・・。えっとそういうわけじゃないんだけど」
「ふぅん。やっぱりいるんだ」
みいちゃんはあたしが言い終わる前にぴしゃりと言い放った。そして、ほんの一瞬だけれどすごく悲しそうな顔をした。
「なんで教えてくれないの」
そこから、あたしは何も言えず、ただ俯いて歩くしかなかった。ほかの2人もフォローするわけでもなく、相変わらず黙ったまま。気まずい空気が流れた。
教室に着いたと同時に、始業のチャイムが鳴る。各々が名残惜しそうにおしゃべりを終え、だらだらと席に向かう。
席に着く前、みぃちゃんはぼそっと言った。
「あいって、冷たいよね」
それから、みぃちゃん達はあたしに対してどことなくそっけなくなってしまった。
全く話さないというわけではないけど、前みたいに遊びに誘ってくれなくなったり、休憩時間もあまり話さなくなった。かろうじて弁当と移動教室は一緒にいる。
彼女たちの空気があたしを拒否し始めたのだ。
でも、おかしくない?と思う。
誰にだって秘密はあるはずだし、話したくないこともある。それを全て包み隠さず話し合うのが友達だというのだろうか。
確かに、ラインを既読無視したり遊びを断ることが多くなったのは、申し訳ないと反省するけど、そういう考えには納得できない。
頭ではそう思いつつも、実際、仲間外れにされたことであたしはものすごく焦っていた。
周りの人に、ひとりぼっちって思われたくないし、はぶられたって知られるんじゃないかと思うと、気が気でなかった。
一人にしないで一人にしないで一人にしないで。
あたしは、できるだけみぃちゃんたちに積極的に話しかけ、面白くないことでも笑うように心がけ、今まで以上に優しく、明るく、接するように必死だった。 だけど、あたしがそうすればそうするほど、彼女たちはそっけなくなっていく気がした。
時すでに遅し、だ。
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