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 終礼のチャイムが鳴った。  それと同時にあたしの胸もどくん、と高鳴る。    きりーつ、きおつけ、れい。  ざわざわとおしゃべりしたり笑いあったりしながらドアへ向かう紺色の人々。その中でも一段とうるさい一団から、名前を呼ばれる。  「あいー、今日街で遊んでかえろーよ?」    まきはパーマをかけた髪を弄びながら、無駄に大きい声を出す。その脇で笑うのはお決まりのメンバー、みぃちゃん、ゆっけ、しおり。膝より上にスカートをおり、ばれない程度に薄く化粧をしている。  あたしの胸がまたどくん、と鳴った。  必死で言葉を絞り出す。  「・・・あー、ゴメン。あたし今日無理。」    「えー!?いーじゃん行こーよ。」    そーよ、そーよ、最近付き合い悪いぞー、とブーブー文句垂れつつも、台風のように去って行く4人を見送って、ほっと胸を撫で下ろす。  まったく、あたしなんていてもいなくても変わんないくせになんでわざわざ誘うんだろう。  教室がしずかになるまでにはそう時間はかからなかった。  がらんとしたオレンジ色の教室の中で、深呼吸。  ポケットから手鏡を出そうとしたけど、やっぱりやめた。    あたしがいくら見た目を気にしたところで、それは彼にはまったく意味のないことだということにいい加減気づいてしまったのだから。  「・・・行こうよ。」    あたしは教室の隅に向かって声をかける。    黒縁メガネの男は窓側へ向いていた首をゆっくりこっちに向けて、頭をぼりぼり、白い粉を紺色の肩に落としながら立ち上がった。
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