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日除けの中に身体全体をすっぽり入れようと、
私の腰に彼は手を回したが、
何だか嫌な気分ではなかった。
むしろ、私を気遣ってくれてる気持ちが、
ささくれ立っていた心を優しく包まれている気がした。
あのベンチで一人座っていた時は、
チャペルまでの道のりが、随分と遠くに感じて、
彼らを祝福するためにやってきたのに、
踏み出す勇気を持てなかった。
けれど、小栗の隣なら、
私はもう少しだけ、頑張れそうな気がした。
「小栗」
「なに?」
彼は微笑む。
「傍にいてね」
ほんの少しだけ、驚いたように私を見た後、
「いーよ」と小栗は、はにかんだように笑った。
(応援特典「キスフレの裏側」Vol.8 特別版)
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