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振り返らなくても、解る声だから余計に切なくなった。
「...ねぇ、何で何も言ってくれないの?最近、来なかったのは、具合が悪かったの?」
彼女の心配そうな声が響き渡り、切なさを募らせていく。
抑えきれない感情のまま、彼女を抱き締めていた。
そのまま、二人は抱き締め会ったまま何も言わなかった。
どれくらいの時間が経っただろう、彼女から離れた。
「...君に逢いたかった。本当はずっと、逢いたかった......」
神様は、彼女に告げる
「逢えなかった理由を教えてくれませんか?」
「...私は、君に隠し事をしているだから、逢い辛くなった。君に対する気持ちを自覚して、君を......」
彼女から抱きついてきた。
「...氷石様が、兄さんみたいにいなくなるかもと考えたら辛くて、寂しかった...」
胸のところに顔を埋めて、泣きそうに言う彼女が愛おしかった。
「...私も君に逢わなくて、苦しかった。でも、君に嘘を付いているのは、もっと心苦しい。君の奏でる音色が寂しそうだったのは、私のせいだと自惚れても構わないだろうか?」
そう言うと二人の視線が合わさり、唇と唇が重なり合いそうになったその時だった。
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