五、孤独な誕生日

10/10
前へ
/39ページ
次へ
同じ立場だけど…私なんかより全然上に立ってる… 誕生日過ごすぐらいなんだもん…私なんかよりもずっと 蓮也の近くにいるんだろうな 改めて思い知らされた 私なんて蓮也の事何も知らない 住まいも職業も好きな物も苦手な物も年齢さえも… 何一つとして知らない 私は何も知らない だけどあの人はきっと 沢山知ってるんだろうな… 蓮也の事 私なんかよりもずっと 色んな事知ってる…。 こんなの…つらいだけ こんなにつらいならいっその事 蓮也から離れてしまえば 楽になれるんだろうか …そんな事はわかってる わかってるけど 離れられない 簡単に離れられるなら とっくに離れてるもん さっき里桜って呼んでくれたのに…嬉しくなかった ずっと名前で呼んで欲しいと願ってたけど あんな場で呼ばれても、ちっとも嬉しくなんてない 寂しいだけだった…。 「…はぁ」 いつまでグズグズ泣いてるんだろ私… 行き交う人にちらちら見られてる… 情けない顔してるのかな私 さっきの二人が頭から離れなくて…もう、此処にさえ居たくない もう今日は帰ろう 買い物してる場合じゃない そんな元気なんて出ない 今日はもう良い 早く帰って…今日は寝よう…。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1351人が本棚に入れています
本棚に追加