五、孤独な誕生日

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「…こ、今日は」 『お前も買い物か?』 「あ、うん。そうなの。蓮也も買い物?」 『あぁ、まぁな』 「…そっか。じゃあ私はこれで…」 嫌な緊張感が解けずドキドキ胸の鼓動が高鳴る中二人に背を向け歩く 『ねぇ今の人誰?知り合い?』 『まぁな』 聞きたくなくても、背後から二人の話し声が聞こえる やだ…もう… 本当に嫌 会いたくなかった 二人を見たくなかった。 「…ぅ…っ…ぐす…」 涙が溢れて止まらない やだ、私…こんな涙もろくなかった筈なのに 今日、野暮用があるって言ってたのは さっきの女性の為だったんだ 誕生日だって言ってた 誕生日一緒に過ごすって事は… 大切な人に違いない 昨日、思いきって声を掛けた私の誘いを断ったのも さっきの女性の為 蓮也さんの彼女? ううん…きっと違う 私と同じ立場の女性だよね。
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