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「こんにちは、朝倉です。」
「すみません、いきなり押しかけて…
明日、アメリカに帰るんだけど…
朝倉さんに、初からお願いがあって来ました。」
「お願い?」
初は黙って頷いた。
「パパ!女同士の大事な話しだから、ふたりだけにしてくれる?」
「ハイハイ」
そう言って、流衣は病室から出ていった。
ふたりになって、初は緊張気味にふーこのそばに立っていた。
「遠慮はいらないよ、立ち話もなんだから、そこの椅子座って!」
ふーこは、まだ幼い顔立ちの、初に優しく声をかけた。
「朝倉さん、すみません…
朝倉さんは、パパの事どう思ってるんですか?」
「え?」
いきなりの質問にふーこは戸惑った。
「パパは、会社のためにいろんなものを犠牲にしてきた…ママとの結婚も、お互いの会社の利益のため、親が勧める人と結婚せざるを得なかったの。
堂本グループの何万人もの生活を守るために…」
「…。」
「ママね、好きだった人と7年前、パパと別れて一緒になったの…パパはひたすら会社のために仕事ばかりしてたけど、ママの気持ち大事にしてくれたの…
私は、ママに引き取られてママと暮らしてます。
妹もできて、幸せに暮らしてます。でも、ひとりぼっちになっちゃったパパの事だけが心配で…
私、パパから朝倉さんの事聞いて、すぐわかったの…
パパの一番大切な人なんだって…!」
「…初ちゃん…」
「これはお願いです。パパの事お願いします。
パパを幸せにしてあげて下さい!」
初はふーこに頭を下げた。
「…。初ちゃん…わかったわ、考えてみる…
ごめんなさい…すぐに返事はできないけど、初ちゃんの気持ちはわかったから…」
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