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マルちゃんは、メンバーの所へ戻っていった。
「兄貴…」
「どうした?マル!」
思い詰めたマルちゃんの顔を見てオニクは思わず身構えた。
「みんなには悪いが…もうあの社長の下じゃ働けない…辞めるよ!」
「…マル!本気か?」
黙ってマルは頷いた。
「でも、ミュージシャンを辞める訳じゃない…
ひとりになって、一からやり直すよ…
人気と儲け優先の社長のやり方、もう我慢できない!
兄貴が一番それを感じてるんじゃないのか?」
「…。」
オニクは何も言えなかった。
「今まで、お世話になりました。」
深々とメンバーに頭を下げたマルちゃん。
「マル!」
「マルの兄やん!」
「マルさん!」
「…みんな…ゴメンな…」
マルちゃんは、その場にこれ以上いることはできなかった。
こみ上げてくる熱いものをこらえながらメンバーのもとから走り去っていった。
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