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オニクはひとり社長の中也の所に向かった。
中也はオニクを見るなり、呼び寄せて話し始めた。
「丁度良かった!オニクに話しがあったんだ。さっきマルがへそ曲げて、辞表を叩きつけて出ていったんだ。
お前なら、機嫌とって戻ってこらせるだろ?」
オニクはしばらく中也の顔を呆れた顔で見つめた。
「ブラックブラックは、マル無しではやっていけません!
必ず取り戻します!
でも、ここには帰ることはありません!
マルの意志はブラックブラックの意志です!」
「どうゆう事だね!」
「今日限りで、ブラックブラックのメンバー全員この事務所を辞めます!」
「…!」
「俺たちで、新しいブラックブラックを作っていくよ…自分達らしいロックの世界を」
しばらく中也は窓の外を見ていた。
そしてオニクに向き直り、大きく深呼吸をした。
「オニク…いい目してるな」
中也は、オニクを見ながら少し笑った。
「私が、もう何を言っても無駄のようだな!
わかったよ、お前らしくやってみろ!
これからはライバルだな。」
「ああ、わかったよ。これまでありがとう…オヤジ!俺なりに作っていくよ自分の目指す音楽の世界を…」
「いつかは、こんな日が来ると思ってたよ。私から旅立つ日がな…。」
「オヤジ…」
「たまには家に帰って来いよ、母さんが寂しがってる。」
「ああ、わかったよ。じゃあな…オヤジ!」
オニクは少し柔らかい表情を見せ事務所から出ていった。
…邦雄…お前も大人になったな…アイツ親を越えるかもな…
オニクの後ろ姿を見送る中也の目は社長ではなく父親の目だった。
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