第1話 【転校生 清科幸助 1】

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けたたましい蝉の声が辺りを覆う。 太陽はすっかり昇りきり 日向になってしまったベンチで 清科 幸助(きよしな こうすけ)は、 暑さとうるささから目を覚ます。 「あーうるさいなもう」 幸助は勢いよく上半身を起こすと 目の前に広がる風景に目を疑った。 まだ夢の途中かと、 目を擦り、頬をつまむ。 「痛っ、え?いやいや」 念を押すように今度は 思い切り頬を叩いてみた。 「痛ーい、だから痛いんだって」 何度痛みを感じても受け入れられず、 幸助は頬をさすりながら、ゆっくりと立ち上がる。 「屋上か?いやでも、どこのだよ」 屋上にいることは分かったが、 地平線まで広がる澄んだ青空や 屋上に届かんばかりの青々しい木々に 見覚えは全くない。
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