第1話 【転校生 清科幸助 1】

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幸助は反射的に入口の方へ駆け出す。 「そうかここは学校なんだ。 だったらやべえ」 慌てて乱れた髪を整え、 無駄に段数の多い階段を テンポ良く駆け降りる。 反射的に動き出した為、 幸助は特に思考を巡らせることもなく、 三年一組の札が掛かる教室の前で脚を止めた。 そこで一度 なぜここが自分のクラスと分かったのか 考えるが、すぐになんとなくで 答えはまとまってしまう。 横開きの教室の扉に手をかけ、 開こうとした時、力を入れる前に 扉は古びた音をたてて開いた。 誰かが出てくるのだと 半身になり避けようとしたが、 開けた相手にそんな心遣いは無い。 瞬く間に二人の距離は縮まり、 相手が幸助に気付いた時には もう衝突は免れなかった。 勢いよくぶつかる二人は 幸助を下にして奇麗に重なり合う。
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