第1話 【転校生 清科幸助 1】

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「だから、痛いんだってさっきから」 上に乗る男はすぐにどこうとはせず、 倒れこむ幸助の顔をまじまじと見詰める。 「うおーおー、もしかして 君が転校生の清科君? 皆来てきて、転校生だよ」 男は上に乗ったまま、 教室へ振り返り、手招きをした。 あ、俺転校生なんだと 状況を把握しようとするが、 胸の苦しみを感じ幸助は我に返る。 「あのー、まずどいてもらえます」 「あ、そっかそっかごめん」 男は廊下に手をつき立ち上がると、 幸助に対し右手を差し出した。 「俺はラク。このクラスのムードメーカで リーダー的存在っ。よろしくな」 「よろしく」 差し出された手をつかみ立ち上がる。 ラクは白く並びの良い歯を輝かせ、 両頬に出来るえくぼに人の良さを感じさせる。
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