11人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから、痛いんだってさっきから」
上に乗る男はすぐにどこうとはせず、
倒れこむ幸助の顔をまじまじと見詰める。
「うおーおー、もしかして
君が転校生の清科君?
皆来てきて、転校生だよ」
男は上に乗ったまま、
教室へ振り返り、手招きをした。
あ、俺転校生なんだと
状況を把握しようとするが、
胸の苦しみを感じ幸助は我に返る。
「あのー、まずどいてもらえます」
「あ、そっかそっかごめん」
男は廊下に手をつき立ち上がると、
幸助に対し右手を差し出した。
「俺はラク。このクラスのムードメーカで
リーダー的存在っ。よろしくな」
「よろしく」
差し出された手をつかみ立ち上がる。
ラクは白く並びの良い歯を輝かせ、
両頬に出来るえくぼに人の良さを感じさせる。
最初のコメントを投稿しよう!