第6話 やる気スイッチ

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第6話 やる気スイッチ

「じゃあ、今みんなが抱えてる案件について、簡単に報告してくれる?」  部署の隣にあるミーティングルームへ移動する。  大部屋をパーテーションで三つに区切っているだけの簡易な会議室だ。  龍禅は入社二年目になる後輩から順番に指名して話を聞いていく。 「そう、そうなの。なるほど、なるほど」  ちゃんと聞いているのかいないのか、軽い相槌にムカついちゃうのはわたしだけ? 「じゃあ、最後に美織さん」 「すみません龍禅主任、できましたら柴と名字でお呼びいただけないでしょうか」  さっきから、美人さんとか美織さんとか、セクハラだっつの。 「アメリカじゃファーストネームで呼ぶのは普通だよ」  って、わたしだけファーストネームで呼ぶのはどうしてよ! 「ここは日本です」 「つまんないの。仕事効率が変わるわけじゃないのに」 「変わります。不快です」 「ふふっ。じゃあ、しょうがない。柴さん、どうぞ」 「ふふっ」て、なんで笑ったのよ!
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