第6話 やる気スイッチ

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「ところで、みんなにひとつだけ。実はみんながどんな案件を持っているのか、すでに資料を貰ってだいたい把握してたんだけれど」  はぁ!?  だったらなんで説明させたのよ、時間の無駄じゃないの! 「美織さん、失礼、柴さん以外、説明が全然なってない。自分がどんな仕事を持っていて、どこまで進んでいるのか、把握していないから説明も覚束ないんだよ。例えば、臼井(うすい)さんは現在案件を三つ抱えてて、しかも全て柴さんのフォローが入ってる。要領よくやればあと二件は担当することだって可能なのに、その三件ですらほとんど柴さん任せだよね。フローチャートはちゃんと作ってる?」 「いえ……特には……」  臼井さんはしどろもどろになって俯きがちになる。 「だったら作る癖を身に付けて。この仕事を終えた先に自分がどう変わっていたいか、考えてみたことある?」 「自分が変わる?」  俯いていた臼井さんが、窺うようにゆっくりと顔を上げた。  わたしを含めたみんなも不思議そうに顔を見合わせる。
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