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「ううん、男女共用。今は男の人ふたりに女の人ひとりって言ってたかな? 六人用のシェアハウスだよ」
「男と一緒なのか? ……お前、そこで男見つけようとか思ってるだろ」
言い当てられて、ぎくっと肩を竦めた。呉ってば鋭い。
「なんで俺じゃダメなわけ?」
呉は明らかに責めるような口調だった。
わたしは一瞬ためらってから、反論する。
「……わたしだってこの一ヶ月、呉と付き合おうかどうしようかって考えたよ」
「で?」
呉は目を細めてわたしを睨み据えた。
居心地の悪さに首を竦めながら話し出す。
「一ヶ月の間、まったく会えなかったでしょ。付き合ったらきっと寂しくなりそうだなって思った」
「仕方ないだろ、仕事だし」
「わかってるよ、わたしだって同じ仕事をしてるんだから、責めてるつもりない。でも、わかってるからこそ、我慢して、我慢して、寂しくなりそうだなって思ったの。それなら付き合わないで友達のままでいた方がいい」
「だったら一緒に暮らせばいいだろ」
「一緒に!?」
呉の突飛な発想に思わず聞き返した。
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