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「知らない男と暮らすなら、俺と暮らしたって一緒だろ」
「それとこれとは違うじゃない。それに一緒に住んだって、どのみち時間がずれて会えないでしょ。呉だって、帰りの早い職業の女の人と付き合えば、会う日もたくさんできると思うし。結婚しても専業主婦の奥さんなら一緒に出張とか行けちゃうんじゃない? わたしは仕事、辞めないよ」
呉と話しながらどんどん自分の気持ちが固まっていく。
うん、呉にとってもわたしにとっても、やっぱり付き合わない方がいいんだ。
「生活よりも大事なことがあるだろ。俺はお前がいい」
大声で言い切られて唖然とした。
周りの人達が興味深そうにこちらを見ている。
うわ、恥ずかしい。
「はい、カマ焼き」
さらにバッドタイミングでお料理が運ばれてきて気まずい沈黙が走った。
カマ焼きを目の前にしながら、つまむこともできない。
流れる沈黙の中、ぐるぐると思考を巡らした。
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