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「じゃあ、何を求めてるわけ?」
「え?」
呉が虚をつかれて顔を赤くする。
今まで見たことのなかったかわいらしい一面を見せられて、心の奥底がきゅんと刺激を受けた。
「やましいこと考えてるんだ」
「そんなわけないだろ! ほら、なんだ? お前とは何でも話せるし……」
からかうと、予想外に呉は必死な様子で否定する。
そうして何か言いたそうに口を噤んだ。
「それで?」
促すように呉の顔を覗き込む。
呉は覚悟を決めたように、わたしをまっすぐに見返した。
「……本当は泣き虫なくせに、強がってがっついてるところを見てると、俺の腕の中で一生守ってやりたくなる」
「……っ」
な、何を。
言われ慣れない言葉に、かぁっと顔が熱くなった。
わたしを貫くみたいな瞳で呉が見つめるから、心臓がバクバクしてどうにかなっちゃいそう。
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