第12話 じゃあ……付き合う?

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 ◇◆◇◇ 「様子を見ながらって言ったのに! ……あっ、待って……まだ」  早々に店を出ると、呉に急かされるままマンションへと帰りついた。  玄関に入ったところで抱きしめられ口づけられる。  相変わらず気持ちよくて、抵抗する手が緩んだところで寝室のベッドに運ばれた。  呉の手のひらは巧みで、こちらを確実に刺激しながら追い込んでいく。 「んっ……もぅ」  ずるいよ。  なんでそんなに嬉しそうに笑うのよ。  そんな顔をされたら、全部受け入れたくなるじゃない。 「呉っ!」 「……名前で呼んで」  頬を両手で挟まれて瞳を覗き込まれる。 「っ!」  恥ずかしくてますます顔を赤くした。  だって丸五年間、ずっと「呉」と呼んできたのに、今更……呼べないっ。  躊躇うわたしを見て意地悪に笑うと、呉はゆっくりと体を離した。 「あっ、やっ、……いかないで、りょ、凌生! っあ」  名前を呼んだだけでお腹の奥がきゅんと切なくなる。
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