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「様子を見ながらって言ったのに! ……あっ、待って……まだ」
早々に店を出ると、呉に急かされるままマンションへと帰りついた。
玄関に入ったところで抱きしめられ口づけられる。
相変わらず気持ちよくて、抵抗する手が緩んだところで寝室のベッドに運ばれた。
呉の手のひらは巧みで、こちらを確実に刺激しながら追い込んでいく。
「んっ……もぅ」
ずるいよ。
なんでそんなに嬉しそうに笑うのよ。
そんな顔をされたら、全部受け入れたくなるじゃない。
「呉っ!」
「……名前で呼んで」
頬を両手で挟まれて瞳を覗き込まれる。
「っ!」
恥ずかしくてますます顔を赤くした。
だって丸五年間、ずっと「呉」と呼んできたのに、今更……呼べないっ。
躊躇うわたしを見て意地悪に笑うと、呉はゆっくりと体を離した。
「あっ、やっ、……いかないで、りょ、凌生! っあ」
名前を呼んだだけでお腹の奥がきゅんと切なくなる。
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