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いや、でも、結婚って……。
「わたし、三十四歳まで結婚するつもりないよ」
「…………」
凌生が驚いたように口を噤んだ。
「だって、まだまだ仕事したいし、出産後も社会復帰を考えるなら、三十四歳で結婚、妊娠、出産って一気に済ますのが理想かな? 家もその辺りで建てればいいかも。そう考えるとあと七年は先の話になるし、やっぱりあのシェアハウスに住みたい」
「……俺は、三十歳までって考えてた。っていうか、そんなもんじゃないのか?」
「三十歳が結婚適齢期なんて古いでしょ。今は三十五歳だよ」
「…………」
凌生はその後何も言ってこなかったけれど、随分戸惑っていたみたい。
結局、再びその話題に触れられることがないまま、引っ越しの日を迎えた。
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