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「柴先輩、引っ越し先はどうするんですか?」
十一時を過ぎると、みんなのテンションが高くなる。
雑談が増えて、でも手だけは異様な速さでタイピング。
「どうしようかなぁ。ゴールデンウィークには引っ越したいと思ってるんだけど」
目の前に座る臼井さんの質問に、ガガガガとキーボードを叩き、画面から目を離さず、声だけを張り上げて答えた。
「ええ? 物件も決まってないのにですか?」
隣の席の八木くんが驚きの声を上げたけれど、もちろん彼の手も止まってはいない。
「なんとかなるでしょ。どこかいいところ知らない?」
この三日間の深夜残業中の話題はもっぱらわたしの引っ越しの話だ。
毒にも薬にもならない他愛ない話題としてはうってつけ。
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