第14話 嵌められた

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「ただいま~」  丁度その時、玄関の方でがたんという音とともに、男の人の声が響いてきた。  なんだか聞き覚えのある声だけれど気のせいよね。  ぱたぱたという足音がこちらに向かってくる。  パタンと扉を開けて、男の人が入ってきた。 「ただいま~。あ~美織さん、そういえば引っ越し今日だったよね。お疲れ様~」  ……はぁ!?  信じられない人の出現に頭が混乱した。  なんで、こいつがここにいるの!?  っていうか、なんでこいつあんまり驚いてないの!?  そこでふと、シェアハウスのパンフを渡してきた時の臼井さんのいたずらな笑みを思い出した。  あの子は色恋沙汰に関してだけは異常に気が回るのだ。  というより、いつも要領の悪いあの子の手際の良さに、もっと疑問を抱くべきだった。
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