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「はいはい、ストップ、ストップ。僕らにもわかるように説明してよ~。とりあえず、話の流れからすると、美織さんと海くんは同じ職場の同僚ってこと?」
楓くんが仲裁するようにわたしと龍禅の間に割って入った。
陽菜ちゃんは心配そうにこちらを見ている。
わたしは気を落ち着けるよう肩で呼吸をしてから口を開いた。
「龍禅は、職場の直属の上司なの……」
「陽菜ちゃんと楓くんに話したことあるでしょ? 僕が一目惚れした美人さんがいるって。それが美織さん。だから、僕の部屋から美織さんの悩ましい声が聞こえてきても、邪魔しないでね?」
龍禅は不敵な笑顔で一同を見渡した。
「なっ、何言ってるのよ!」
慌てるわたしの横で、楓くんは仕方がないなぁというように笑って、陽菜ちゃんはあたふたしている。
わたしは居た堪れなくなって立ち上がった。
「ごめん、わたし、夕食いらない。しばらくひとりにして」
せっかく作ってくれた陽菜ちゃんと楓くんには悪いけれど、龍禅の隣でご飯を食べる気分にはなれなかった。
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