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コンコンと遠慮がちに扉が叩かれた。
「美織さん、陽菜です。今、いいですか?」
「ちょっと待ってて」
急いで起き上がると、ドアに駆け寄って扉を開けた。
そこにはお夕食の御膳を持った陽菜ちゃんが立っていた。
「よかったら、食べてください」
「ありがとう。陽菜ちゃん、さっきは大人げない態度を取ってごめんね」
わたしが謝ると、陽菜ちゃんはふわんと揺れるように微笑んだ。
「全然大丈夫ですよ」
心からの笑顔にほっとする。
「あの……」
陽菜ちゃんは、小さく言い淀んだ。
「ん?」
陽菜ちゃんから御膳を受け取りながら首を傾げる。
御膳は湯気が立っていて、温め直してくれたことがわかった。
こういうちょっとした気遣いが嬉しい。
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