第11話 シェアハウス

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 ◇◆◇◇  地獄の一週間を過ぎて、ようやっとゴールデンウィークに突入した。  金曜日に部署で飲みに行って、翌日土曜日は一日爆睡。  日曜日にさっそく不動産屋へ足を運んだ。  事前にパンフの物件について問い合わせていたから、スムーズに説明に入る。  現在は男性ふたりの女性ひとり、計三人が入居中とのこと。  一番最後ってわけでもないし、まだまだ場に入りやすそう。  見学を希望していたから、さっそく物件を見に行く。  ゴールデンウィークということで、住人はちょうど出かけているらしく、会うことはできなかった。  パンフで見たよりもずっと素敵な家。  部屋は綺麗に片付いている。  誰かが見学にくるとわかっていても、普段から綺麗かそうじゃないかぐらいわかる。  ちゃんとルールの守れる人達が住んでいるのだろうと予想がついた。  それから中庭が素晴らしかった。  色とりどりの花々に、優しい木漏れ日を落とす木々。  ガーデニングが趣味の人が住んでいるのかもしれない。  玄関や窓、室内の至る所に植物が溢れている。  庭が家の真ん中にあるせいか、どの部屋も太陽の日が明るく差し込み、気持ちのいい風が吹き抜けていた。 「わたし、ここに決めます。ゴールデンウィーク中に引っ越せますか?」  不動産屋さんは虚をつかれたように目を見開いた後、あたふたと契約書を整えた。
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