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「引っ越し? どうして?」
「うん、光とも別れたし、環境変えたいなぁと思って」
「……前もそうだったな」
呉はわたしが安藤と別れて引っ越したことを知っている。
「もう物件は決めたのか?」
「うん、昨日」
「昨日? 一言相談してくれてもよかったのに」
「えっと……」
相談……なんてできないよ。
呉から離れようと思ったのだから。
わたしの反応の悪さに何かを感じ取ったのか、呉が黙ってしまった。
わたしも何を言えばいいのかわからずに黙ってしまう。
しばらくして、再び呉が話し出した。
「……引っ越しの準備、できそうか? 俺も手伝うよ、暇だから」
「ありがとう、でも貴重な休みだし、出かけなくていいの?」
「柴が一緒じゃなかったら意味ないし」
呉ってば拗ねているの?
大きな図体で拗ねている様子を想像したら微笑ましくなった。
「じゃあ、手伝ってもらえたら嬉しい」
「わかった、今から行く」
明るい調子で応えると、呉からも打つように返事がきた。
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